7.上司と秘書の違いへ

・上司の機能と役割

上司の機能は「意思決定をして経営管理を遂行する」ことです。

そのために、上司は利潤の追求を実現するために役割を担い、その役割を果たすために個々の仕事をこなしていきます。

上司の役割

経営計画を策定

管理する組織の指揮・命令の実行

上司の個々の仕事

・取引先との面談

・会議への出席

・出張

・決裁書類への押印

・部下への指示

・秘書の機能と役割

秘書の機能は「上司を補佐する」ことです。

上司が重要な仕事の処理に集中できるよう、周辺雑務を担うのが秘書に求められる役割です。

秘書の役割

・上司の身の回りの世話

・日程管理

・電話応対

・来客接遇

・上司と秘書の仕事上の関係

上司が本来の業務に専念できるように、上司の周辺雑務を代行して上司を補佐するのが秘書の基本的な機能です。従って、上司本来の仕事(取引先との面談や会議への出席、決済書類への押印など)を秘書が代行するなどはありません。

あくまで秘書の仕事は上司の仕事の周辺雑務であり、具体的には面談予約日程管理など裏方の仕事です。秘書としての立場を忘れず、上司と秘書の機能や役割の違いをよく認識した上で上司を補佐していくことが大切です。

・職務の範囲と範囲外

秘書としての職責を果たす上で、関与する必要があり、どこから先は関与すべきではないのかの区別をはっきりと心得ておく必要があります。

例えば、上司が「ちょっと出掛けてくる」と言って部屋を出ようとした際では、

してはいけないこと
行き先を聞く
⇒上司は隠密に人と会うつもりかもしれないからです。必要とあれば上司は秘書に行き先を告げます。

すべきこと
上司の帰社時間の確認
⇒上司の日程管理は秘書の仕事であり、上司の上役や取引先から問い合わせがあったときに何時ごろ戻るか答える必要があるからです。

・勝手な判断で職務範囲を超えない

気を利かせて行ったつもりが、職務範囲を超えた行為になっていることもあるので注意が必要です。

基本的に上司が判断して、秘書に指示することですので、勝手な行為は慎むようにしましょう。例えば以下のような行動は勝手な行動といえます。

上司の出張中、上司宛てに贈り物が届いたので先方に電話で礼を言う
⇒その贈り物は受け取ってよいものかどうか上司でないと分かりません。
⇒仮に受け取ってよいものであっても、上司の代わりに秘書が電話で礼を言うのは失礼に当たることです。

取引先への同行を頼んできた上司の部下に、その日は上司が休みを取る予定だから別の日にするよう頼む
⇒取引先の訪問が決まったら、上司は休みよりもそちらを優先するかもしれません。

・上司を理解し、良好な関係を築く

上司は一般的に秘書よりも人生経験豊富であり、それなりの誇りと自信を持って生きています。この点を理解し、尊敬をもって接するようにしましょう。

また、上司から秘書への信頼が薄いと、上司は秘書に任せた仕事を何度もチェックしなければならなくなり、上司の仕事がはかどらなくなります。従って尊敬と信頼が重要です。秘書は上司を尊敬し、信頼し、上司からも信頼される関係を作らなくてはなりません。

・上司の信頼を得る

日々の努力が信頼につながります。日ごろから実績を積み重ねていくようにしましょう。具体的には、

指示された仕事を期限内に正確に仕上げる

・常に気遣いや気配りを示す

・上司の意向に沿って仕事を忠実に遂行する

などを積み重ねるとよいでしょう。

次のようなことにも留意します。

・あくまでも仕事を中心とした関係を心掛ける

人間性考え方を理解する

私事には深く立ち入らないようにする

・上司のプライベートな情報は他言しない

・職務上知った企業秘密を漏らさない

・上司について知っておくべきこと

仕事関係
仕事内容、職務権限、関係する社外の所属団体、役職、親しくしている取引先の関係者、人脈など

生活環境
住所、自宅の電話番号、携帯電話番号、利用駅、家族構成など

人物特性
性格、人柄、趣味、好きなスポーツ、生活信条、飲食物の好み、持病を含む健康状態など

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