4.慣用表現
・頭語と結語
◎往信の場合の組み合わせ
- 基本形:「拝啓」〜「敬具」
- 丁重にする場合:「謹啓」〜「敬白/敬具」
- 急ぎの場合:「前略」〜「草々」、もしくは「冠省」〜「不一」
- 事務的な文書の場合:頭語は書かずに「以上」で締めくくります。
◎返信の場合の組み合わせ
- 「拝復」〜「敬具」
・時候のあいさつ
時候のあいさつは以下のようになっています。
ただ、時にはその時の状況に相応しくない天気の時もあります。
「冷夏」や「暖冬」あるいは「長梅雨」などで、そのときにふさわしくない場合があります。(1月だが温かい、など。)
その場合は「このごろ」という意味の「時下」を使うとよいです。
- 1月 厳寒の候/厳冬の候
- 2月 向春の候/余寒の候
- 3月 早春の候
- 4月 春暖の候/陽春の候
- 5月 新緑の候
- 6月 初夏の候/梅雨の候
- 7月 盛夏の候/猛暑の候
- 8月 残暑の候
- 9月 新秋の候/初秋の候
- 10月 秋冷の候/紅葉の候
- 11月 霜降の候/晩秋の候
- 12月 歳晩の候/初冬の候
・前文
前文とは用件に入る前の「あいさつ文」です。
文の頭に「頭語」を書き、その後1字空けて時候のあいさつと共に相手のことを祝い喜ぶ言葉を続けて終わります。
◯前文の例:
・会社の場合
拝啓 向春の候、貴社ますますご発展のことと、お喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜りまことにありがとうございます。
・個人の場合
拝啓 秋冷の候、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
◯前文で使う言葉の例:
- 「ご発展」「ご隆盛」:
会社に対して用いる言葉。 - 「ご清祥」「ご健勝」「ご清栄」:
個人に対して用いる言葉。 - 「平素は」:
「日ごろは」はという意味。 - 「格別のご高配」:
「特別な配慮」という意味。
・主文とは
主文とは本来の用件部分、本文の部分です。1字落として「さて」等で書き出します。
◯主文の例:
さて、早速ですが、このたび弊社では標記について、下記の要領で実施することになりました。
つきましては、ご多忙中のところ恐縮ではございますが、万障お繰り合わせの上、ご来駕賜りたく伏してお願い申し上げます。
◯主文の慣用表現:
- 「早速ですが」:
すぐ用件に入るときの決まり文句です。 - 「標記について」「上記について」:
「新サービス発表会」など、文書に表題を付けた場合に用いる言葉。 - 「ついては」「つきましては」:
「そこで」という意味。 - 「ご多忙中のところ恐縮ではございますが」:
相手を気遣う決まり文句です。 - 「万障お繰り合わせの上」:
「いろいろ差し支えはあるでしょうが、何とか都合を付けて」という意味。 - 「ご来駕」:
「来訪」の尊敬語です。「来ていただく」という意味。
・末文とは
末文とは本文を締めくくる「あいさつ文」です。
「敬具」などの結語はその行の末尾に書きます。
◯例:
まずは、略儀ながら、書中をもってお願い申し上げます。 敬具
◯末文の慣用表現
- 「まずは」:
末文の書き出しの決まり文句。 - 「差し当たって」「さしあたり」:
「とりあえず」という意味です。 - 「取り急ぎ」:
ほかのことは省いて用件だけを伝えるというときに用います。 - 「略儀ながら」:
「簡単だが」の意昧で、必ず「書中をもって」や「書面をもって」と続きます。
つまり「本来は出向くのが正式なのだが、それを略して文書で」という意味です。