8.正しい敬語の使い方

・正しい敬語の使い方に注意する

敬語には、基本的な使い方のルールがあります。
これを間違えてしまうと、失礼な表現や違和感のある表現になってしまうので、しっかり覚えておきましょう。

同様に、間違った言葉遣いがないよう気をつける必要もあります。

・正しい敬語のための基本的なルール

  • 二重敬語を使わない。二重敬語とは、一つの単語に敬語を重ねて使うことです。
    × お容さまがお越しになられました。
     お客さまがお越しになりました。

  • 尊敬語と謙譲語を混同混用しない。
    × (来客に)パンフレットを拝見されますか。
     (来客に)パンフレットをご覧になりますか。
    × (来客に)遠慮なさらずにいただいてください。
     (来客に)遠慮なさらずに召し上がってください。


  • 社内の者社外の人に対して言う場合は、尊敬語を用いない。
    × (来客に)山田部長は外出されていますが〜。
     (来客に)部長の山田は外出しておりますが〜。
     (来客に)山田は外出しておりますが〜。

  • 社内の者を、家族や近親者などに対して言う場合は尊敬語を用いる。
    × 部長の山田は外出していますが〜。
     部長は外出されていますが〜。

  • 目上の人に、その人よりも職位が上の人の指示を伝える場合は尊敬語を用いる。
    × 打ち合わせのため2時に来ると言われました。
     打ち合わせのため2時にお見えになるとおっしゃいました。

  • 目上の人の話を、その人よりも職位が上の人に伝える場合は話の内容部分は謙譲語、そのほかの部分は低い程度の尊敬語を用いる。
    × 部長の意向を聞きたいので、課長は「3時に来たい」とおっしゃいました。
     部長のご意向を承りたいので、課長は「3時に何いたい」と言われました。

・間違った言葉遣いに注意する

  • 「課長の○○と一緒に部長の□□が随行します」は、「同行します」が正しい用法。随行とは目上の人に付き従うという意味です。

  • 「お客さまを応接室にお連れいたしました」は、「お通し」または「ご案内」を使うのが正しい用法。「お連れする」は自分と同等かそれ以下の人を一緒に伴って来た場合に使う言葉です。

  • 「山田と名乗る者は二人おりますが」は、「山田は二人おりますが」などと言うのが正しい用法。「名乗る」は、自分の名や素性などを告げることで、他人に対して使うのは、その人間の本名が定かでない場合などです。

  • 職場の先輩に対しては「武田先輩」ではなく「武田さん」と呼ぶのが正しいです。学生時代と違ってビジネスの場では「職名」か「さん」付けで呼ぶのが一般的です。また、上司が部下を「くん」付けで呼ぶことはあっても、秘書が同僚男性や後輩を「くん」付けで呼ぶようなことはしてはいけません。役付きがない場合は全て姓を「さん」付けで呼びましょう。

  • 「すぐに郵送で送ります」「昨年の3倍、受注を受けた」は「郵送します」「受注した」とし、重語を使わないように気を付けましょう。重語とは同じ意味の言葉を繰り返して使うことで「車に乗車して待っています」「今、現在」「まだ未解決の問題がある」などが例です。これらは「車に乗って」か「乗車して」「今」か「現在」「まだ解決していない問題」か「未解決の問題」としなければなりません。

  • 大役を任されたとき、「その役目は私には役不定です」と言うと、もっと大きな仕事をしたいと不満を表していることになります。役不足とは「自分の力と比較して割り当てられた役が軽過ぎる」という意味で、その役目が自分には重すぎるということであれば「力不足」としなければいけません。

  • 「このチャンスを生かして『汚名挽回』したいと思います」は「汚名返上」の言い間違いです。「汚名」は不名誉な評判だから「返上」しなければなりません。「名誉挽回」と「汚名返上」を混同しないようにしましょう。

  • 「〜でよろしかったでしょうか」という言い方は正しい日本語ではありません。「必要なのはこちらのカタログでしょうか」「こちらのカタログでよろしいでしょうか」などと正しい接遇用語を使うようにしましょう。
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